
教育基本法「改正」法案、どこが問題か?
政府は、四月末に教育基本法「改正」法案を閣議決定し、国会に提出しました。教育基本法を変えてほしいという要求は、教職員からも父母国民からも出されたことはありません。ではなぜ今、「改正」なのか、何のためなのかを考えてみましょう。
Q1 教育基本法のどこをどんなにかえようとしているか?
大きくいって二つです。
一つは、教育基本法の前文から「(憲法)の理想の実現は、根本において教育の力にまつべき」という言葉を抜き去り、新しく「教育の目標」をおき、その中に「国を愛する態度」を入れ込んでいることです。
もう一つは、第十条の「国民全体に対して直接に責任を負って行われるべき」を取り払い、「国は・・教育に関する施策を実施しなければならない」
として、「教育振興基本計画」を作り、直接に教育の国家統制を進めようとしていることです。
Q2なぜ変えるのか、変えようとする背景は何か?
ねらいの第一は「戦争する国」の人づくりにあります。教育基本法は、日本は二度と戦争はしないと世界に誓った憲法と一体に作られました。戦前の教育が侵略戦争をすすめる道具として使われた事を厳しく反省し、平和・人権・民主主義の日本をつくる主権者国民を育てる事を目的としてつくられましたが、「改正」案はこの大切なところを取り払うものです。
第二は、教育を国家によって、支配しようというものです。戦後、教育は国民の手ですすめるものとして、国家による教育への介入を厳しく禁じましたが、「改正」案はこの大事な部分も取り払うものです。
この背景には日本を海外で戦争する国にしようとする動きがあります。憲法九条改悪によって国の形を変えるだけではなく、「戦争をする国」を支える人づくりをすすめようというものです。教育を国民からとりあげて、時の政府が思うままに支配できるしくみをつくりあげるため、教育基本法を変えてしまおうというわけです。
Q3教育基本法「改正」で現場の教育にどのような ことが心配されるか?
これまでも競争教育が押しつけられ、子どもと教育の困難が広げられてきました。この「改正」で「教育振興基本計画」によって、もっと競争と格差づくりの政策がすすめられますます子どもを追い立て、追いつめる事に拍車がかかります。また、「日の丸・君が代」
押しつけが大きな問題となっていますが、教育基本法「改正」で教育の「目標」に「国を愛する態度」が決められると、子どもがどれだけ「国を愛する態度」があるかを評価の対象にすることになります。すなわち、被害が直接子どもに及ぶ事になるのです。こんなことになれば、教育の営みがこわされます。
教育基本法「改正」案には思想信条良心の自由を定めた憲法十九条違反があります。また、国家が教育を支配することは、国民の教育権をを定めた憲法二十六条違反です。憲法違反の教育基本法「改正」案など、本来その存在が許されるものではありません。
教育基本法は理念法であり、その理念がまちがっていないのであれば、変える必要はありません。「ライブドア事件は教育基本法のせい」「耐震偽装事件は教育基本法のせい」「ニートが増えたのは教育基本法のせい」など、誰が考えても首をかしげざるを得ないような理屈をならべたてているのです。
教育基本法「改正」を許すかどうか、それを決めるのは国民の世論と運動の力です。まず職場で集まって話し合うことから始めましょう。一つ一つは小さなことでも、全国でこうした話し合いが進められれば、大きな力となっていきます。その話しあいの根底には、必ず子どもを大切に育てようという教師の良心がこめられています。子どもを大切に育てたいという願いは教師も父母も共通しています。教育基本法「改正」法案を廃案にするために、みんなで力を合わせましょう。
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