No.1680 2007.1.23.
発行 泉北教職員組合

全国一斉学力テストのねらいは
結果公表→競争と学校格差づくり

 文部科学省は、2007年4月24日、全国いっせいに、すべての小学6年生、中学3年生を対象に「学力テスト」をやろうとしています。
 学力実態調査をするのなら、これまでやられていたように、一部抽出でできるはずです。巨額の予算(今年度29億円、来年度116億円)をつぎ込んでまでも、全員にいっせいにやらせようとするのには、どんなねらいがあるのでしょうか。

市町村の半数が結果公表

 文科省は、「過度な競争や序列化を招かないように」学力テストの結果は、都道府県単位までしか公表しないとしています。しかし、都道府県には、市町村単位及び学校単位の結果、 各市町村には,学校単位の結果、各学校には,学級単位及び児童生徒ごとの結果を返却するとしています。しかも、この結果を公表するかは、各自治体にゆだねるとしているのです。
 共同通信社が昨年の7月に行ったアンケート調査では、全市町村長の84・2%が参加の意向を示し、うち半数(全体の42・8%)は結果の公表を予定していると回答したました(06年7月30日、共同通信社)。また、結果を公表しないとしているところでも、情報公開請求があれば公表せざるを得なくなる可能性も十分あります。現に、昨年8月には、枚方市が行った学力テストの学校別成績非公開決定の取り消しの判決が、大阪地裁で下されました。
 学力テストの結果の公表のあとに何がねらわれているのでしょうか。

学校評価制度の導入

 こにれについては、安倍首相自身、自著で率直に次のように述べています。
 「ぜひ実施したいと思っているのは、サッチャー改革がおこなったような学校評価制度の導入である。・・・国の監査官が評価する仕組みだ。問題校には、文科相が教職員の入れ替えや、民営への移管を命じることができるようにする。」(『美しい国へ』より)
 サッチャー教育改革は、一九八〇年代の終わりから実行されました。全国統一テストを行い、学校別に結果を公表しました。学校を査察する独立機関として教育水準局が設置されました。同局の厳しい査察によって、結果の悪い学校は「失敗校」と認定されると廃校にすることができるなど、競争的なしくみをつくりました。「改革」は労働党政権にも引き継がれました。
 安倍首相のお手本とするイギリスの「教育改革」の現状は今、どうなっているのでしょうか。雑誌「世界」11月号に阿部菜穂子氏の報告が掲載されています。
 学校間の格差が広がり、競争が強いられるなかで、学校では点数至上主義が生まれ、教育がゆがめらているとのことです。成績の悪い小学校で「児童には一年間、テスト科目以外の授業はしないようにと指導した」との元校長の証言も紹介されています。

お手本のイギリスでは破綻

 厳しい査察の矢面にたたされるのは校長です。そのため、深刻な「校長不足」で、校長不在校が全国一三〇〇校近くあるとのことです。こうしたなかで、保守党からも「成績の悪い学校を名指ししてさらしものにする教育体制をやめる」との声があがっています。また、全英校長会総会では全会一致で「イングランドでのナショナル・テスト結果公表の廃止」が決議されました。さらに、ウェールズでは学力テストを来年度までに全廃することになっています。
 文科省は、テストの実施は「市町村の判断である」ことを認めています。愛知県犬山市などはすでに不参加を決めています。和泉・高石・忠岡の各教育委員会は、現時点でテストに参加する意向を表明していますが、泉北教組「学力テスト」不参加を強く求めます。

犬山市は不参加を表明

 全国学力調査に「参加しない」と表明している愛知県犬山市。その教育長室を今年3月、文部科学省の課長が訪れた。
 瀬見井久教育長 「犬山は独自の予算で教師を雇い、少人数授業などで学力を保証している。本来は国がもっと投資すべきでしょう」「やるべきことをせず、調査だけはやらせるんですか」
 文科省課長 「国は国できちんとやっている」
 教育長 「『マルペケ(○×)テスト』で測れる力は得点力だけ。そもそも教育に市場原理を持ち込もうとしている。無益でなくむしろ有害だ」

 犬山市がこれほど国の学力調査に反発を抱く理由の一つは、今回の調査の発端を作った04年当時の中山文科相の発言にある。「競争意識を高める」「競争していく環境づくりが必要」と、そのねらいを語っていたからだ。(「朝日新聞」2006年11月6日付けより)

過労死ライン突破 文科省勤務調査より
超多忙 中学校・青年教職員


 「事実は小説より奇なり」。調べてみればやはり超多忙。
 そんな実態が浮きぼりになりました。
 文部科学省の「教員勤務実態調査」の七月分の暫定集計の結果は、日本の教育を支えている教職員の実態がリアルに現れています。

朝八時から夜七時まで

 今回は、全国の小学校一六四校(約三千六百名)、中学校一六八校(約四千二百名)の七月分(夏休み期間を除く)の集計です。七月は、学校の中でも「成績づけ」や学期末懇談がある特に忙しい時期です。
 小・中学校あわせた平均は、平日の勤務時間が十時間五十六分(うち残業時間二時間八分)、持ち帰り時間(仕事)は三十五分です。これは、朝八時に出勤し、夜七時に学校を出ることを意味します。
 法律では週四十時間と決められています。
 しかし、集計結果から教職員の勤務実態は週あたり五十四時間四十分となります。
 つまり、月曜から金曜の五日間で七日分近くの仕事をしていることになります。そこからは、密度の濃い仕事ぶりがうかがい知れます。
 しかも、その勤務中の休憩時間がわずか十分。
 まさに、休みなく働きづめの日々を送っています。

過労死ライン突破(週二十五時間)
中学校の青年教職員


 そして、最も過酷なのが中学校の青年教職員(三十歳以下)です。
 これは、朝の七時半に出勤したとして、学校を出るのが夜八時頃です。
 週あたり六十一時間十分の勤務となります。
 つまり、月〜金の五日間で八日分近くの仕事をしているわけです。
 さらにクラブ指導などで、土日の仕事時間は九時間近くになります。  過労死ラインは、超過勤務が週あたり二十五時間以上です。
 中学校・青年教職員は、 それを越え週二十八時間十二分の超勤です。
 もちろん、子ども達にかかわる時間は十二分に必要です。
 と同時に、教職員のゆとりが必要なことを、今回の暫定集計から知ることができます。


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