
これならもういらない
全国一斉学力調査(77億円)
十月二十四日、文科省は「全国学力調査」の結果を公表しました。ここに、全日本教職員組合(全教)の声明(要約)を掲載します。【小見出しは編集部がつけました】
全員参加の意味ありますか
第一は、この程度の結果を得るために、全国二三〇万人の小・中学生を強制参加させることが必要であったのか、ということです。
「調査結果のポイント」(以下「ポイント」)では、「家で学校の宿題をする児童生徒の方が、正答率が高い傾向」「学習塾で『学校の勉強より進んだ内容や、難しい内容を勉強している』児童生徒…が正答率が高い傾向」「朝食を毎日食べる児童生徒の方が正答率が高い傾向」などと調査結果を「分析」していますが、これらのことは、日々子どもたちと接している教職員ならだれでも実感していることです。
朝食を毎日とっていない子どもや宿題ができていない子どもの学力に問題があるというのならば、政府・文科省の責任として、そうした家庭に対する手厚い手立てをとることが求められています。「ポイント」では、そうしたことには一切言及されていません。
結果を文科省の都合のいいように使わないで下さい
第2は、文科省がすすめようとしている施策へ政策誘導しようとする危険を強く感じることです。
「ポイント」では、「自尊意識・規範意識等」として、「学校のきまり・規則を守っている児童生徒の方が、正答率が高い傾向」、「学校調査」においては「児童生徒が礼儀正しいと思っている学校の方が、平均正答率が高い傾向が見られる」としています。
先の国会で学校教育法が改悪され、義務教育の目標に「規範意識」が盛り込まれました。子どもたちの実態を無視して、ただ「規範意識」のみを押しつけるやり方は、教育のいとなみの本質に照らして大きな問題を持つものです。
しかし、「ポイント」の使いようによれば、「学力を身につけるために規範意識を」というキャンペーンが行われる危険性を強く感じます。
同様のことは、朝食もとることができない子どもたちの実態を捨象して「早寝早起き朝ごはん」運動に流し込もうとする動きに連動させる危険があるといえます。
「良い子」の型を押しつけるの?
このこととも関連して、文科省が、いわば特定の「よい子像」ともいうべきものを描き出していることも気になります。
調査結果を重ね合わせると、毎日、きちんと朝食をとって、登校前には持ち物を確認し、学校ではきまりを守って礼儀正しく過ごし、私語もせず熱心に授業を受け、帰宅すると読書に励み、夕食も決まった時間にとり、夜は早く寝る、という子どもが「学力」が高い「よい子」という子ども像が浮かんできます。
子どもはそんなにのっぺりとした存在ではありません。子どもたちは、おとなでさえ生きづらい世の中を、さまざまな問題を抱えつつ、ときには屈折しながらも精一杯生きています。現場では、そうした子どもたちとの格闘ともいえる実践が毎日繰り広げられています。おとなたちには、そうした子どもをリアルにとらえ、悩みや喜びを共有し、人間的な働きかけを強めながら、ともに生きていくことが求められているのではないでしょうか。
競争強化で学力は伸びない
とりわけ今回、都道府県ごとの結果が公表されていることは大きな問題であり、都道府県の格差づくりにつながるものです。今後、市町村ごとや学校ごとの結果公表などが行われれば、冒頭に指摘した子どもと学校の序列化、格差づくりがいっそうすすむという重大問題をもっています。私たちは、各都道府県教育委員会および市町村教育委員会に対して、市町村ごと学校ごとの結果公表は断じて行ってはならないことを強く求めるとともに、序列化をつくるデータそのものの即時廃棄を強く求めます。
「沖縄戦」教科書を元に戻せ 中立公正な調査官採用を
泉北教育1706号で、約11万人が結集した「教科書検定意見撤回を求める県民集会」(9月29日に沖縄県宜野湾市で開催)の様子と、沖縄県民の声が政府・文科省を動かそうとしていることを報道しました。
これに対し、元に戻すことは「教科書に対する政治介入」であると批判する勢力があります。本当にそうなのでしょうか。
政治介入したのは誰か
今回の検定前に、教科書が加筆・訂正されたわけではありません。「『集団自決』の日本軍関与について断定的記述をしないよう」初めて書き換えが求められたのです。そして、それを求めたのは、村瀬信一調査官(日本史担当)です。
文科省は99年度に「新しい歴史教科書」(扶桑社)の監修者、伊藤隆東京大学名誉教授を代表とする研究活動に科学研究費補助金(科研費)を助成していますが、その研究グループの資料に、村瀬信一氏の名前が研究分担者として記載されています。その後04年から、彼が教科書調査官となったことを文科省審議官が認めているのです。
06年度用中学社会「新しい歴史教科書・改訂版」は「新しい歴史教科書をつくる会」主導で、扶桑社から出版され、伊藤教授は「つくる会」の元理事。泉北教育1706号でも指摘したように、村瀬調査官は、「つくる会」が文科省送り込んだ人物なのです。
文科相は、「教科書調査官はどこの団体でだれと勉強していようと、教科書検定とは何の関係もない」と中立性を強調していますが、日本史担当調査官4人のリーダーである主任調査官の照沼康孝氏も伊藤隆東大名誉教授の教え子であることを考えれば、彼らこそが、政治介入を行った張本人であるといえます。

会場後方から舞台をのぞむ
調査官には、中立公正な人物を
中立・公正とは到底言えない人物が、なぜ教科書調査官を務めているのでしょうか。
教科書調査官は文科省の常勤職員で、初等中等教育局に58人置かれることになっています。一般の国家公務員のような採用試験はなく、大学の助手や助教授などから文科相が任命します。
任免・採用ルートは文科省教科書課によると、「定年退職者が出たら、その分野の調査官OBや学会の関係者、教科書検定調査審議会の委員などから推薦をいただくような形になっている」とのこと。文科省とつながりのある個人の口利きだというわけです。
採用には、関係学会の推薦を義務付けるなど、最低限その程度の公開性、公平性を持たせるべきではないでしょうか。

沖縄県の教職員も多数参加
教科書の中立性を求めることは、沖縄だけの問題ではありません。教育に係わる者、さらには国民全体の問題です。
「検定撤回」を求めて全国の地方議会で「意見書」が相次いでいます。私たちの勤務・居住する自治体の議会にも働きかけていきましょう。
主任手当拠出金で、小・中学校へ寄贈
特別支援の国語教材(中級編)
特別支援の算数教材(中級編)
昨年度、全小学校に「初級編」(国語・算数計21000円)を寄贈しましたが、今回「中級編」(同)が発行されましたので、全中学校と、希望される小学校に寄贈いたします。希望の締切は11月10日。発送は11月20日頃になります。
